DNL / DNR


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R1.3
型番:N6720/00 (?) 定価: 不明 発売: 1972年頃

● DNL(Dynamic Noise Limiter)の概要

オランダ・フィリップス社が発表した再生専用のノイズリダクションシステム。
再生時に高域成分のみを減衰させ、聴感上の高域ノイズを低減する一種のローパスフィルターですが、心理音響マスキングと適応帯域構成を応用し、フィルター作動点を自動可変にして聴感上のノイズを低減するのが特長です。
DNLはカセットデッキなどに内蔵して販売されていたこともあり、有名な例を挙げるとナカミチ社製カセットデッキNakamichi 1000 にはドルビーBタイプと共にDNLが装備されていました。(写真下)




具体的な回路構成については、下記に情報があります。(英語)
 http://freespace.virgin.net/ljmayes.mal/comp/philips.htm


ナショナルセミコンダクター社から出ているDNR(Dynamic Noise Reduction)用IC・LM1894 を使うと、同様のコンセプトのノイズリダクションシステムが簡単に自作できます。ノイズ低減効果は公称10dB。
LM1894のアプリケーションノートには、原理から実際の回路サンプルまで充実した説明が記載されており、DNRの理解に役立ちます。

なお、DNLをダイナミックノイズリダクションと呼んでいるケースを多く見かけますが、DNLのLはimiterのLであり、リダクションはeductionなので混同されぬよう。(老婆心ながら)


● 仕様
 詳細不明



内部の様子です。
基板が1枚、そしてトランスだけのシンプルな作りです。

回路はディスクリート構成です。
実はDNLのICがあるのかどうか見たくて入手したのですが、この程度の回路ならIC化する必要がないのかもしれません。


フロント(正確にはトップ)パネルにある切換えスイッチです。
LEFTとRIGHTは、おそらくレベル調整の際にメーター表示を切り替えるために使うのではないかと想像します。(後述のレベル調整ボリュームと組み合わせて使う?)


実に奇妙なことに、OFFのスイッチが押された状態=電源OFFです。
この状態が電源OFFで、もう一度押すとONになります。
普通と逆なので非常にややこしいです。(^^;


本体自体は簡素な構造ですが、メーターにはイルミランプが付いてます。


トップパネル背面側にレベル調整ボリュームがあります。
DNLは再生専用なので、ここでレベル調整する重要性が今一つ見えません。



背面端子です。
ご覧の通りDINコネクタのままです。
日本ではほとんど使われないので、変換アダプタが必要です。
元々ヨーロッパ史上向けの製品を、電源電圧100V対応(日本向け)にしただけのような気がします。。

なお、木目ですが筐体はオールプラスチック製です。


底面にある機種銘板。
型番は N6720/00 なのでしょうか。
シリアルが166番と小さいので、初期ロットのようです。
消費電力がMax 4W というのも思わず笑ってしまいます。ちょっと手を加えれば、電池駆動も可能ですね。

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